2022年10月06日

『元禄おさめの方』帯文


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妖風いまだ止まず――
得がたい珠玉に、またも巡りあった
山田風太郎に底はないのか


著:山田風太郎
出版社:宝島社(宝島社文庫)

 上記新編の帯文をお任せいただきました。
 本書の中では表題作「元禄おさめの方」が圧巻、白眉です。一人の女性の死を通じて、元禄という時代、綱吉という「暗君」への見方に変更を迫る、迫力ある一篇でした。
 本書が広く手に取られる一助になることを願います。

posted by 米澤穂信 at 00:00| 解説・推薦・編纂

『アブナー伯父の事件簿』帯文


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ここにはミステリとアメリカ、
それぞれの若き日の姿がある。
そこでは敬神と合理、
法の尊重と自力救済が
矛盾なく同居している。


著:M.D.ポースト
出版社:東京創元社(創元推理文庫)

 上記復刊の帯文をお任せいただきました。
 アブナー伯父は特異な人物です。私の中ではブラウン神父(カトリック)、修道士カドフェル(修道会)、そしてこのアブナー伯父(プロテスタント)が敬虔なる名探偵の三巨頭なのですが、アブナー伯父だけが聖職に就いていません。畑を耕し、牛を飼い、そして事件とその解決の中に神の手を見るのです。私はそれを、アメリカらしいと思います。
 本書が広く手に取られる一助になればと思います。

posted by 米澤穂信 at 00:00| 解説・推薦・編纂