著:米澤穂信 出版社:KADOKAWA 発売日:2023年3月2日 定価:4,500円(税別) 四六変形判 ISBN:978-4041124604 |
きっと十年後、この毎日のことを惜しまない。 |
〈古典部〉シリーズの愛蔵版が刊行されることになりました。
初刊時、書店に勤務していた私は『氷菓』の売り上げデータを見て、これでは作家という仕事を続けていけまいと思いました。
その後、角川文庫から再刊されてから今日に至るまで、多くの読者に愛していただき、大切にしていただいて、〈古典部〉は恵まれたシリーズへと育って行きました。思いもかけなかった、しあわせなことです。
そして今日、愛蔵版の刊行に至りました。ありがとうございます。
今回愛蔵版の刊行に当たって、以下の二編を追加しています。
一つ目は、『プールサイドにて』です。
これは〈古典部〉シリーズが『氷菓』の題名でアニメ化された時、特典エピソードとして作成された『持つべきものは』の原案を、改めて小説の形で書き直したものです。
夏休みの一日を描いた、〈日常の謎〉です。
二つ目は、『クリスマスは箱の中』です。
これは新人賞への応募原稿『ありうべきよすが』(という題名だったのです)に含まれており、『氷菓』への改稿時に編集者さんとご相談の上で削除した、暗号ミステリです。
私はこのお話を、アニメ版『氷菓』のBD-BOXに収録されるコミック特典の原作として再構成しました(後にコミック版『氷菓』の11巻に収録されています)。
今回、このエピソードを改めて小説の形に書き直しました。
クリスマスを巡る、古典部四人の小さな謎解きです。
お楽しみ頂き、ご愛蔵いただけますよう、心から願っています。