「ミステリーズ!」vol.80(東京創元社)収録 発売日:2016年12月12日 |
楽しみだったの! でも、いまはもう、自分でもどれを諦めたのかわからない……。 |
「ミステリーズ!」に寄稿した短篇です。
高校一年の二学期、小鳩常悟朗は小佐内ゆきに連れられ、名古屋への快速列車に乗っていた。とある事情で小佐内の頼み事をひとつ聞くことになり、小佐内は名古屋のパティスリーへの同行を希望したのだ。その店では三種類のマカロンを選べるのだが、小佐内は四種類食べたかったのだ。小鳩を連れていけば、一回で四種類試せる。
そうして訪れたパティスリーで三種類のマカロンを注文し、小佐内は少しのあいだ席を外した。戻って来たとき、彼女の皿には四つのマカロンが乗っていた。
頼んだのは三つだったはずなのになぜ? 店員が間違えたのだろうか? まさか! しかしではなぜ、誰が第四のマカロンを置いたのか?
疑問は多々あるが、小鳩はまず、「どれが後から置かれた四つめのマカロンなのか」を当てようとする。その問いの解決自体は、二人にとってそれほど難しいものではなかった。
真の問題は、小佐内が「四つめのマカロン」を手に取ったときに浮上する。そのマカロンは、重かったのだ。
涙を呑んでマカロンを割った小佐内は、その中身を見て、さすがに驚愕を隠せない。
……中には、金の指輪が入っていた。
〈小市民〉シリーズの、ひさしぶりの短篇です。
彼らは変わらないですね。
タグ:〈小市民〉