「たべるのがおそい」vol.5
発売日:2018年4月15日
発売日:2018年4月15日
〈一見して病死だった。デュー(デュー・マクラウド刑事)は早く帰りたがっていて、「これは警察の仕事じゃないな」と二度言った。私も同じ意見だった――机に突っ伏した、ラリー・シューメーカーの顔を見るまでは。彼の顔は曲がっていた。数多くの死体を見てきたが、あれほど奇怪な顔は見たことがない。私は呻き、デューを呼んだ。私が見たものを見て、彼は言った。「神さま」〉 |
「たべるのがおそい」に寄稿した短篇です。
西暦2000年のある日、ペンシルヴァニア州の小さな町で、一人の男が命を落とした。施錠されたオフィスで夜中までコンピュータに向き合って仕事をしていたが、とてつもないストレス――怒り、不満、あるいは恐怖――に晒され、心臓が止まってしまったのだ。
この「ラリー・シューメーカー事件」については、さまざまな見方が存在する。事件を担当した刑事は二人とも世を去ったが、そのうち一人は回顧録を遺していた。その回顧録と新発見の資料からシューメーカー事件の真相へと迫っていくH.B.ライスバレーのレポートを、米澤穂信が初めて邦訳する。
という短編です。
昔日の恐怖が、いま甦る。