掲載誌:「小説現代」 発売日:2020年6月22日 |
あなたのためを思ってという言葉は、相手を制御したいという毒をどこかに潜ませている。けれど私たちの場合は違うはずだ。 |
「小説現代」に寄稿した掌編です。
妻は死を恐れる。自分自身のそれをではなく、身近な人に死の影が射すことをひどく怖がる。
だから私は、妻に話すことが出来ない。――自分がしばしば、奇妙な汗をかくことを。
私はこの汗をかく症状をもたらす何かを、「里芋病」と呼んでいる。
「day to day」に寄稿した「ありがとう、コーヒーをどうぞ」とたぶん同じ日の、別のふたりのお話です。