著:米澤穂信 装幀:野中深雪 出版社:文藝春秋 発売日:2023年7月25日 定価:1,700円(税別) 四六判上製 ISBN:978-4-16-391726-9 |
打てる手は全部打つというわけだな。いいだろう。 |
28冊目です。
遭難したスノーボーダーが発見された。一人は重傷、そしてもう一人は死体となって。県警葛班は捜査本部に加わり、殺人容疑で捜査を開始する。犯人はわかっている、だが、凶器がない……。
雪降る崖下の、凶器なき殺人。――「崖の下」
強盗致傷事件が発生。犯人の「稼ぎ」は少額で、事件は続発するおそれが大きい。強行軍で捜査する捜査本部に、最有力被疑者が交通事故を起こしたという一報が入る。
葛の前に現れたのは、あまりにも好都合な証言者たちだった。――「ねむけ」
花咲く行楽地で、切り刻まれた死体が発見された。捜索が行われ、死体の部位は次々に発見される。遺体の身元も判明し、捜査は着々と進展するが、葛は事件の全体像とかみあわない一点を決して看過しなかった。すなわち……犯人はなぜ、死体を刻んだのか?――「命の恩」
強風地帯で連続放火事件が発生する。葛班が捜査に乗り出すが、その途端犯行は停止した。捜査員の存在がばれたのか? でなければ……。
カギは、この街でかつて発生した、痛恨事の中にある。――「可燃物」
県警本部に帰還中の葛班は、急遽、移動経路上で発生した立てこもり事件の応援に駆けつける。避難は完了しているか、負傷者はいないか、現場の建物の構造は……情報を収集する葛班の前に、立てこもり犯が姿を見せる。その手には「拳銃」が。――「本物か」
部下も、上司も、自分の立場も未来もすべて眼前の事件解決のために注ぎ尽くして悔いない葛警部が、人智の限りを尽くして挑んだ事件集です。
警察ミステリをお届けします。推理をお楽しみ頂ければ、幸いです。
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