2016年10月31日

『さよなら妖精』


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THE SEVENTH HOPE

(単行本新装版)
著:米澤穂信
装幀:岩郷重力+k.k
出版社:東京創元社

発売日:2016年10月31日
定価:本体1,700円(税別)
四六判上製
ISBN:978-4-488-02768-1

(四六判)
著:米澤穂信
装幀:岩郷重力+WONDER WORKZ。
出版社:東京創元社

発売日:2004年2月24日
定価:本体1,500円(税別)
四六判仮フランス装
ISBN:4-448-01702-9

(文庫判)
著:米澤穂信
解説:鷹城宏
装幀:岩郷重力+WONDER WORKZ。
出版社:東京創元社

発売日:2006年6月10日
定価:本体743円(税別)
文庫判
ISBN:4-488-45103-9


(2016年追記)
 今回、『さよなら妖精』を単行本新装版として再刊して頂けることになりました。
 すべての小説が長く記憶されるわけではない中で、私にとっても思い出深い本作を、ふたたび読者の皆さまにお届けできることを嬉しく思います。

 いまならこうは書かないという若書きの点も多々ありますが、今回加筆修正は行いませんでした。未熟ゆえの失敗や不足ならば改めるに憚りはありませんが、当時の私にしか書き得なかった文章を、いまの私の目から見て若いからといって手を加えるのは、小説を殺すことだと考えたからです。

 また、短篇「花冠の日」を併録していただきました。
(追記おわり)

 三冊目です。初めての非シリーズ物になります。
 タイトルから、ファンタシー物と思われる方もいらっしゃるようですが、違います。
 舞台は藤柴市。観光業以外にこれといって売り物もなく、その観光業もやや衰退の兆しが見える地方都市です。主人公は大学一年生、守屋路行。彼が友人と喫茶店で待ち合わせるところから、物語は始まります。

 彼らは、一年前のことを思い返します。
 ある雨の日、守屋たちの前に現れた旅行者。黒髪の白人である彼女は、マーヤと名乗ります。行く当てがないという彼女に、守屋はホームステイ先を紹介します。
 そして、それからの二ヶ月。守屋とその友人たちは、マーヤと時を過ごします。マーヤの故郷と日本との違いに深い興味を示し、それは時として守屋たちに謎を投げかけます。
 約束の時間が過ぎ、マーヤは故郷へと帰って行きました。
 そして一年。守屋はどうしても、マーヤの故郷とはどこであったのかを知らなければならなくなります。

『愚者のエンドロール』が趣味的な仕上がりになっていると以前書きましたが、本作はまた別の意味で趣味的です。
 作中で取り上げられる事態の「真犯人」を当てるのは、ちょっと骨が折れる仕事になるでしょう。
posted by 米澤穂信 at 00:00| 既刊情報