2006年11月11日

「心あたりのある者は」


「野性時代」(角川書店)37号収録
雑誌発売日:2006年11月11日 雑誌定価:880円(本体)



『十月三十一日、駅前の巧文堂で買い物をした心あたりのある者は、至急、職員室柴崎のところまで来なさい』




 雑誌「野性時代」に掲載された短篇です。
『氷菓』『愚者のエンドロール』『クドリャフカの順番』の〈古典部〉シリーズです。

 折木奉太郎と千反田えるは、古典部の部室である地学講義室で、放課後を過ごしておりました。
 二人は、ちょっとしたことで諍いになります。これまで折木が度々示してきた推理の才能を褒める千反田と、どうも納得がいかない折木。折木は果たして、どんな状況からでも蓋然性の高い仮説を導き出せるのか?
 そこに流れてきた校内放送。「十月三十一日、駅前の巧文堂で買い物をした心あたりのある者は、至急職員室柴崎のところまで来なさい」。千反田は、ふと思いついて言いました。「いまの放送にしましょう。いまの放送はどういう意味で行われたのか、推論を立ててください」。
 そして折木は、考え考え、話し始めます。

 ワンルームミステリ(いま作った用語)です。舞台は地学講義室だけ。
 安楽椅子探偵ものっぽいミステリだと思っていただければと思います。


*『遠まわりする雛』に収録済


タグ:〈古典部〉
posted by 米澤穂信 at 00:00| 雑誌等掲載短篇