「野性時代」(角川書店)39号収録 雑誌発売日:2007年1月12日 雑誌定価:840円(本体) |
口の中に広がるチョコレートの味。それは強烈に甘く、そしてやはり苦く、当然のように次第次第に薄れて印象だけを残し、消えていった。 |
雑誌『野性時代』に掲載された短篇です。
〈古典部〉シリーズです。
話は、一年前、折木奉太郎や福部里志が中学三年生だったころから始まります。
鏑矢中学の三年生であった福部里志は、2月14日、伊原麻耶花からバレンタインチョコを差し出されます。しかし彼は、「カカオから作らなければ手作りチョコレートとはいえない」という理屈を盾に、チョコを拒否。怒り狂った伊原は、翌年こそ福部にチョコを食わせることを誓い、立ち去りました。
そして、翌年。神山高校一年生となった折木たち。古典部の地学講義室では、伊原が千反田に講義しています。いわく、「そもチョコレートとはなにものぞ」。伊原は、一年前の誓いを忠実に実行するつもりで、チョコレートのことを調べ上げてきたのです。千反田は喜んで、伊原のチョコレート作りを手伝うことを約束しました。
そして、2月14日。完成した伊原の手作りチョコレートはいかなる末路を辿り、折木奉太郎はこの日いかなる役割を果たすのでしょうか?
形式としては、少しだけフーやハウのふりをしたホワイダニットです。
*『遠まわりする雛』に収録済
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