2007年03月12日

「大罪を犯す」


「野性時代」(角川書店)41号収録
雑誌発売日:2007年3月12日 雑誌定価:840円(本体)



 妖怪が神山高校を徘徊している、省エネ主義という妖怪が!




 雑誌『野性時代』に掲載された短篇です。
〈古典部〉シリーズです。

 高校一年の一学期、つまり長編で言いますと『氷菓』の進行途中に起きた話です。
 ある日、折木奉太郎がなんということもなく授業を受けていたところ、隣の教室から突然、大きな物音が聞こえてきました。折木のクラス、一年B組は騒然とします。その物音の正体は明らかでした。隣の教室、一年A組で、数学の教師が怒りを爆発させ黒板を激しく叩いたのです。
 そこまでは、よくある話。しかしその日は意外な声がそれに続きました。教師を制止する、強い語調の声。それは、千反田えるの声でした。
 その日の放課後。古典部員四人は、漫然と会話を楽しんでおりました。その中で話はいつしか、千反田がなぜ怒ったのかということに流れていきます。千反田は言います。わたしはなぜ、怒らなければならなかったのでしょう?

 何の役に立つわけでもない、「放課後の会話」の再現を試みました。
 雰囲気が出ていればなによりです。


*『遠まわりする雛』に収録済


タグ:〈古典部〉
posted by 米澤穂信 at 00:00| 雑誌等掲載短篇