2012年06月22日

『ふたりの距離の概算』


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It walks by past

(四六判)
著:米澤穂信
装画:北沢平祐
装幀:岩郷重力+WONDER WORKZ。+K・S
出版社:角川書店

発売日:2010年6月30日
定価:本体1,470円
四六判上製
ISBN:978-4-04-874075-3

(文庫判)
著:米澤穂信
写真:清水厚
装幀:岩郷重力+WONDER WORKZ。
出版社:角川書店

発売日:2012年6月22日
定価:本体552円
ISBN:978-4-04-100325-1



 ただ走るには長すぎる。しかし人を理解するのに充分な距離かどうかはわからない。




 十五冊目です。
〈古典部〉シリーズの第五巻になります。

 一年が経ち、折木奉太郎たち古典部員は二年生になりました。神山高校の多種多様な部活動は新入生獲得に血道を上げ、古典部もまた、いちおう勧誘活動を行います。折木はいつもの通り座って喋っているだけでしたが、成り行きで女子生徒が一人、入部することになりました。
 名を大日向友子。折木とは同じ中学校の出身です。

 新入部員を迎え、古典部はにわかに活気づきます。
 ホームパーティーに、開店を間近に控えた喫茶店のモニター客。それらはどれも大日向が画策したものでした。

 しかし、入部から二ヶ月。
 部員としての正式な登録を前にして、大日向は突如、古典部には入らないと言いました。
 どうやら彼女を心変わりさせた何かがあったらしい。そして前後の事情を考えると、どうやら古典部部長・千反田えるとの確執があったとしか思えないのです。

 折木は大日向を引き止めようと考えます。
 しかしそのためには、大日向と千反田の確執とは何だったのかを知らなければならない。それはすなわち、大日向友子とはどういう子だったのかを見つめ直すことを意味しています。

 与えられた時間はさほど長くありません。
 距離は二十キロ。
 神山高校マラソン大会、通称「星ヶ谷杯」のスタートからゴールまでが猶予期間です。それが終わってしまえば慰留は手遅れとなるでしょう。
 隠された思いを見出すべく、折木は記憶を遡ります。


 連作短篇仕立ての長篇です。
「日常の謎」のスタンダードな構成であり、〈古典部〉の既刊にしっくりと馴染む一冊になっていればと思います。

タグ:〈古典部〉
posted by 米澤穂信 at 00:00| 既刊情報