2010年11月18日

「軽い雨」


「オール・スイリ」(文藝春秋)収録
発売日:2010年11月18日 雑誌定価:880円



 そして誰もいなくなった。




 ムック「オール・スイリ」に掲載された短篇です。

 高齢化が行き着くところまで進んでいた「与納村蓑石」で、とうとう最後の住人が世を去りました。

 しかし市町村合併後、市長は無人村の再生を掲げ「甦り課」を新設。定住者サポートを柱とする「よみがえれ! みのいし」プロジェクトを立ち上げます。
 事実上の責任者は、以前似たような仕事を任されたことのある垂水邦次郎。彼は並々ならぬ決意で新プロジェクトに臨みます。――成果を上げ、左遷先同然の「甦り課」から脱出するために。

 やがて、応募者の中から二世帯が第一陣として蓑石に移り住みます。
 ラジコン好きの久野とその家族。
 音楽好きの厚木とその家族。
 垂水が抱いた彼らの第一印象は、さほど悪いものではありませんでした。

 しかし垂水はやがて、軋轢が生じるには二世帯でも充分だということを知ることになります。


 短編です。
 初めて使うタイプのトリックを用いました。
 こういうのも、案外楽しいですね。

タグ:〈甦り課〉
posted by 米澤穂信 at 00:00| 雑誌等掲載短篇