2011年04月01日

『パイド・パイパー』


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著:ネヴィル・シュート
解説:北上次郎
装画:杉田比呂美
装幀:東京創元社装幀室
出版社:東京創元社

発売日:2002年2月22日
定価:本体700円
文庫判
ISBN:978-4-488-61602-1

 ひとしずくもたらされる善意。その尊さが、胸に迫る。

 以前、「ミステリーズ!」のエッセイ「私の一冊」で、『パイド・パイパー』について書きました。
 その中の一文をオビに使って頂くことになりました。
 エッセイから引かれた関係上、オビ文には前後があります。さすがに全部書くわけにはいきませんが、少しご紹介します。
 年老いた紳士が「子供は私の責任」と確信し、気負うでなく、おためごかしでもなく、ただ自らの責任を全うするために全ての困難に立ち向かっていく。その高潔さに、心を打たれる。
 誰もが自分のことで精一杯な状況下で、それでもひとしずくもたらされる善意。その尊さが、胸に迫る。
 この小説が書かれたのは一九四二年。イギリスとドイツはまだ戦っていた。けれど、ネビル・シュートの筆は、敵を描く時でさえ品位を失わない。
『パイド・パイパー』は気高い小説です。巡り合わせとはいえ、私などがお薦めする機会を得られたことを光栄に思っています。
posted by 米澤穂信 at 00:00| 解説・推薦・編纂