「野性時代」2013年11月号(角川書店)収録 発売日:2013年10月12日 雑誌定価:800円 |
あんたはこれから、長い休日に入るのね。そうするといい。休みなさい。 |
雑誌「野性時代」に寄稿した短篇です。
ある朝、折木奉太郎は自分の身に起こった異常に気づく。
心身共に調子が良く、気力があり余っている。朝食を作り掃除をして洗濯を済ませ、それでも飽き足らなかった折木は、街へと散歩に出かける。
取りあえずの目当ては近所の神社。気の向くままだったはずの散歩先で、しかし折木は意外にも、千反田えると会うことになる。
朝からどこか奇妙だった休日。その中で折木は、千反田から一つの問いを投げかけられる。
折木奉太郎の信条――やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に。
これまで千反田を何度か助けてきた折木が、なぜその信条を掲げているのか、千反田はずっと不思議に思っていた。
問いかけに応じて、折木は話し始める。
小学六年生の頃、ある「係」だったこと。その「係」で起きたある小さな出来事を、彼はゆっくりと話し始めた。
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