著:米澤穂信 解説:極楽トンボ 装画:片山若子 装幀:岩郷重力+WONDER WORKZ。 出版社:東京創元社 発売日:2004年12月18日 定価:税込609円(本体580円) 文庫判 ISBN:4-488-45101-2 |
終わった? ううん、小鳩くん。これからじゃない。 |
四冊目です。
これまでの本を読んで頂けた方にはもちろん、本作で初めて米澤の本を手に取って下さった方にも、肩の力を抜いて楽しんで頂ければと思います。
舞台は船戸高校。主人公は、入学したての小鳩常悟朗。彼は中学時代から、ある女子とよく行動を共にしてきました。彼女の名は小佐内ゆき。小鳩と小佐内の二人は、共通した徳目を掲げています。
「小市民たれ」、と。
小市民たらんとする以上、探偵をするなどということはもっての他。ですが二人は、避けがたい事情からしばしば謎に直面することになります。
徳目に完全に従うことはできないまでも、ある程度は穏やかな日々。しかし、ある日突然、小佐内ゆきを悲劇が襲いました。
あまりに理不尽な事態に小佐内は言葉を失い、小鳩には慰めの言葉もありません。そしてこの事件は、小鳩と小佐内の小市民たらんとする願望に、微妙な影を落とし始めます。
日常ミステリの連作短編集です。
基本的な読み味は、帯にもあります通り、コミカルではないかと思います。味が軽い分、いろいろなタイプのミステリを盛り込むことができました。たとえば最終話「狐狼の心」は、ケメルマンの『9マイルは遠すぎる』に敬意を捧げてているつもりです。
君よ掴め、あの小市民の星を。
タグ:〈小市民〉