「ビッグイシュー日本版」(ビッグイシュー日本)収録
発売日:2009年1月15日 定価:300円
言ったでしょ? 可能性を買いたいんです
雑誌「ビッグイシュー日本版」に掲載された掌篇です。
ひさしぶりに掌篇を書きましたが、やはり、難しいです。
青田買いをされた学生の話です。
書いた後、急激に景気が悪化して、なんだか意図せざる皮肉を含んだようになってしまいました。
「野性時代」(角川書店)56号収録 雑誌発売日:2008年6月12日 雑誌定価:840円 |
放課後に、ヘリが飛んで来た。 ぱらぱらという回転音が近づいてきて、驚くほど近くなって、なかなか去らなかった。あんまり長く頭上にいるので、もしかして校庭に下りるのかとさえ思い始めた頃、ようやくのことで遠ざかっていった。 |
「Story Seller」(新潮社)収録 発売日:2008年4月10日 定価:780円 |
わたしの弱さは結局生まれつきのものだったのだと、いまになって思う。 最後の時まで、わたしは抗うということをしなかった。何もしないのが正しいのだ、従うのがいちばん良いのだと、わたしは自分の前に、百の理由を並べ立てた。 |
「小説新潮」(新潮社)2008年2月号収録 発売日:2008年1月22日 定価:780円 |
そうして毎日の仕事をこなしながら、三ヶ月が経ち、半年が経ち、一年が経ちました。飛鶏館を囲む白樺たちは葉を茂らせ、緑を濃くし、やがてそれを散らせ、雪に沈みました。吹雪の日を幾日か耐え、凍りついていた小川もとけ、暦が再び四月を迎えた頃、わたしはふと、気づきました。 ところで、お客さまは、いずこに。 わたしの管理する飛鶏館は、一年間でただのひとりも、お客さまを迎え入れたことがなかったのです。 |
「小説新潮」(新潮社)2008年1月号収録 発売日:2007年12月22日 定価:780円 |
殺人者の手は赤い。しかし彼らは手袋をしている。 |
「野性時代」(角川書店)45号収録 雑誌発売日:2007年7月12日 雑誌定価:840円 |
やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に。 |
「小説新潮」(新潮社)2007年6月号収録 発売日:2007年5月22日 定価:780円 |
「吹子! どこまでも仮面の厚いやつ。お前はそのまま一生暮らすのか」 お嬢さまは血のついた刀を下げたまま、微笑まれました。 「だってわたしは、丹山吹子ですもの。名無しのお兄様」 |
「野性時代」(角川書店)43号収録 雑誌発売日:2007年5月12日 雑誌定価:840円 |
「なんで、こんなことに」 「そうですね。たぶん……」 暗がりの中で、千反田が笑った気がした。 「おみくじが悪かったんじゃないでしょうか?」 |
「野性時代」(角川書店)41号収録 雑誌発売日:2007年3月12日 雑誌定価:840円(本体) |
妖怪が神山高校を徘徊している、省エネ主義という妖怪が! |
「野性時代」(角川書店)39号収録 雑誌発売日:2007年1月12日 雑誌定価:840円(本体) |
口の中に広がるチョコレートの味。それは強烈に甘く、そしてやはり苦く、当然のように次第次第に薄れて印象だけを残し、消えていった。 |
「野性時代」(角川書店)37号収録 雑誌発売日:2006年11月11日 雑誌定価:880円(本体) |
『十月三十一日、駅前の巧文堂で買い物をした心あたりのある者は、至急、職員室柴崎のところまで来なさい』 |
「ミステリーズ!」(東京創元社)vol14収録 発売日:2005年12月12日 定価:本体1,260円(税別) |
メールが届いた。差出人は小佐内さん。文面は、 『もしもし、わたし小佐内』 そりゃわかってるよ、と思ったら、立て続けにもう一通届いた。 『いま、あなたの後ろにいるの』 |
「ミステリーズ!」(東京創元社)vol.13収録 雑誌発売日:2005年10月12日 雑誌定価:1200円(本体) |
全てはこの忌々しい暑さのせいだ。ぼくはそう決めた。何もかもがいつも通りだったら、ぼくはこんなことを考えはしなかったに違いない。 |
「ミステリーズ! extra」(東京創元社)収録 雑誌発売日:2004年11月23日 雑誌定価:1200円(本体) |
わたしのこと、好き? 神かけて? |
「The Sneaker」(角川書店)2002年4月号収録 雑誌発売日:2002年2月28日 雑誌定価:686円(本体) |
この話は絶対内緒よ! 他のお客さんの前じゃ、言っちゃ駄目なのよ――。 |