2018年04月24日

対談が掲載されました


 こんにちは。米澤です。
 対談が掲載されましたのでお知らせします。

媒体:『女性自身』2018年5月8・15日合併号
出版社:光文社
発行日:2018年4月24日
題名など:超"笑えるミステリー"10選
話者:麻耶雄嵩・米澤穂信

posted by 米澤穂信 at 00:00| お知らせ

2018年04月15日

「千年紀の窓」


「たべるのがおそい」vol.5
発売日:2018年4月15日


〈一見して病死だった。デュー(デュー・マクラウド刑事)は早く帰りたがっていて、「これは警察の仕事じゃないな」と二度言った。私も同じ意見だった――机に突っ伏した、ラリー・シューメーカーの顔を見るまでは。彼の顔は曲がっていた。数多くの死体を見てきたが、あれほど奇怪な顔は見たことがない。私は呻き、デューを呼んだ。私が見たものを見て、彼は言った。「神さま」〉



「たべるのがおそい」に寄稿した短篇です。

 西暦2000年のある日、ペンシルヴァニア州の小さな町で、一人の男が命を落とした。施錠されたオフィスで夜中までコンピュータに向き合って仕事をしていたが、とてつもないストレス――怒り、不満、あるいは恐怖――に晒され、心臓が止まってしまったのだ。
 この「ラリー・シューメーカー事件」については、さまざまな見方が存在する。事件を担当した刑事は二人とも世を去ったが、そのうち一人は回顧録を遺していた。その回顧録と新発見の資料からシューメーカー事件の真相へと迫っていくH.B.ライスバレーのレポートを、米澤穂信が初めて邦訳する。
 という短編です。

 昔日の恐怖が、いま甦る。

posted by 米澤穂信 at 00:00| 雑誌等掲載短篇

2018年03月23日

『真実の10メートル手前』


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How many miles to the truth

著:米澤穂信
写真:岩郷重力+K.K
装幀:岩郷重力+K.K
出版社:東京創元社

発売日:2018年3月23日
定価:本体680円(税別)
文庫判
ISBN:978-4-488-45109-7




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著:米澤穂信
写真:岩郷重力+K.K
装幀:岩郷重力+K.K
出版社:東京創元社

発売日:2015年12月25日
定価:本体1,400円(税別)
四六判上製
ISBN:978-4-488-02756-8



目とは、そこにあるものを見るための器官ではない。




 20冊目です。

『王とサーカス』の経験を経て、太刀洗万智は一人のフリー記者として歩み始めました。
 彼女の仕事を収めた短篇集をお届けします。

 折を見て書き溜めていた短篇が一冊にまとまりました。
 最初の短編は実に8年前に書かれています。推協賞受賞記念のものや、アンソロジーに向けたもの、機会を見つけて書いてきたものが長篇と同じ年に本になるとは、感慨深い巡り合わせです。


真実の10メートル手前
 失踪したベンチャー企業の広報担当者が、その妹に電話をかけてきた。東洋新聞大垣支局の記者・太刀洗は、電話の内容だけを手がかりに単独インタビューを試み、名古屋駅から特急「しなの」に乗る。

正義漢
 東京都吉祥寺駅で乗客が線路に転落、轢死し、電車は運行を停止した。別ルートを模索するひとびとの中で、不審な動きをする女性がいた。

恋累心中
 三重県の恋累(こいがさね)で、高校生の男女が心中した。現場に向かう週刊誌記者に、上司は取材コーディネーターを手配していた。「癖はあるが、切れるやつだ」。

名を刻む死
 福岡県鳥崎市で、独居老人が亡くなっているのが見つかった。遺体の第一発見者の中学生に、太刀洗が接触を試みる。彼女の取材目標はひとつ、『名を刻む死』とはなにか。

ナイフを失われた思い出の中に
 神奈川県浜倉市で、男子高校生が姪を刺殺したとして自首、逮捕される。その数日後、東欧のある国から男性が浜倉を訪れる。ある思い出のために……。

「綱渡りの成功例」
 長野県南部を襲った台風により、西赤石市は大きな被害を受けた。大きな土砂崩れからかろうじて生き延びた住人に、太刀洗は取材を試みる。なぜ、いまなのか。なぜ、その問いなのか。(書き下ろし)

posted by 米澤穂信 at 00:00| 既刊情報

2018年03月21日

対談が掲載されました


 こんにちは。米澤です。
 対談が掲載されましたのでお知らせします。

媒体:映画『氷菓』DVD、BD愛蔵版ブックレット
販売元:ポニーキャニオン
発行日:2018年3月21日
話者:安里麻里・米澤穂信

posted by 米澤穂信 at 00:00| お知らせ

2018年03月05日

台北国際ブックフェアに行ってきました


 こんにちは。米澤です。
 去る2月10日、台北で開かれた国際ブックフェスタに、獨歩文化のゲストとしてお招き頂きました(*「歩」は日本の文字とは少し字体が違いますが、機種依存になるようなのでこの文字で代用します)。

 台湾に到着したのはその前日、9日のことです。
 台湾は寒さ知らずの南国であり、エアコンに暖房機能が不要なほどだと聞いていましたが、その頃ちょうど寒波が到来していて、お出迎え頂いた台湾の方いわく、「死ぬかと思いました」とのこと。
 東京で着込んでいた防寒具がそのまま役に立つぐらいで、気温で南国を感じられなかった分、街路樹の枝ぶり葉ぶりに現われる植生の違いに目がいきました。

 到着後、複数のミステリ関係の媒体にインタビューをして頂きました。『いまさら翼といわれても』(KADOKAWA)の翻訳が刊行されるタイミングでしたので、もっぱらそれに関するご質問を頂きましたが、インタビュアーの方々には〈古典部〉のほかに、『追想五断章』や『儚い羊たちの祝宴』、『インシテミル』なども好きだとおっしゃって頂けて、本当に広く読んで頂けているんだなと思うと感慨深くてなりません。

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 また、拙著に関するご質問以外には、どの媒体の方もミステリの書き方や発想法についてお尋ねになることが印象的でした。なんでも、主に若年層を中心に小説を書きたい人々が増えていて、webなどでの発表が増えているとのことです。日本でもインターネット上で小説を書く人々は多い、というか私自身がそうでしたから、いずこも事情は同じといったところでしょうか。

 ところで、台湾で『いまさら翼といわれても』が読まれるにあたり、私には一つ疑問がありました。この小説に出てくる千反田という人物は、家がある程度名士であるために、自分も少なからず家業と土地に責任を負っていると感じています。こうした立場が、台湾の読者にもスムーズに理解して頂けるだろうかと思っていたのです。
 そこでインタビュアーの方に、千反田のような名望家の富農というのはいるのかとお尋ねしたところ、どちらかと言えば文人がそうした立場に置かれるイメージがある、という主旨のお答えが得られました。なるほど。

 また、小説の中で主人公が着る「白いトレンチコート」がしばしば褒められるのはなぜかという質問を頂きました。たぶんほとんどの人物は心から褒めているわけではなく、少し風変わりな服装に当たり障りなく言及しているだけだろうとお答えしたところ、インタビュアーの方は「ああ。タテマエ」と納得されていました。そうですね。

 翌朝は宿で朝食を頂いたのですが、朝食ビュッフェの会場で真っ先に聞こえてきた言葉は、「せやからおかあちゃんはコーヒー飲まんかってんや」でした。どこにいるのかわからなくなった。

 午前中はサイン本や色紙の作成に当て、昼食を頂いた後でいよいよブックフェア会場に伺うことになったのですが、その昼食というのがたいへんおいしいものでした。なんでも八色の小龍包が名物のお店ということでしたが、それ以外も実に旨く、特に棗に餅を挟んだ料理は、これをいつも食べられたらなあと思うほどでした。
 昼食の最中には今後の打ち合わせのほか、『聊斎志異』は何故あれほど怪異との結婚に優しいのかといったことや、甘耀明さんや朱天心さんの小説について、以前『世界堂書店』に収録した短編(「シャングリラ」)のことなど、興味深い会話をいろいろと交わすうち、旅の疲れもかき消えました。

 甘耀明『神秘列車』(白水社エクス・リブルス)はたいそう面白い一冊で、なかでも「葬儀でのお話」が大好きなのですが、『神秘列車』には連作二編しか採られていません。台湾では「葬儀でのお話」単体で刊行されていて、全十六話に序章と終章がつくようです。
 読んでみたいですね……(目配せ)。

 昼食を頂いた場所の近くで、書店を見る機会もありました。
 新刊は割引して販売するのがふつうだそうで、本に割引率のシールが貼られているのがなんとも新鮮です。
 ミステリコーナーでは、四人の偉大な作家が大きく紹介されていました。四人というのはコナン・ドイル、ローレンス・ブロック、ダン・ブラウン、京極夏彦です。さすがは!
 連城三紀彦の花葬シリーズを一冊にまとめたものもあり、うれしいことに後日、獨歩文化の方にご恵贈頂きました。

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夢の一冊ですね。


 ほかには、DVD販売コーナーで見つけた「猫戦士」というBOXセットに大いに気を惹かれました。なんでも、子猫軍と成猫軍とが戦う物語だとか……。どんなふうに戦うのか……やはり猫パンチだろうか……。

 ブックフェアの会場は、非常に広大なものでした。
 出版社の見本市がどこまでも続き、中には芸術としての書や古い印刷機、ボードゲームを展示するようなところもあって、本のみならずいわば印刷物のお祭りでした。仕事でなければどれほど面白く見られるかと思うと残念でなりませんでした。
 なんでもこのブックフェアは、国際見本市でもありますが、春節に合わせて開かれ値引率もふだんの書店よりも良いため、お年玉を貰った子供たちが押しかけて思い思いに本を買っていく場になっているのだそうです。活気と歓声に充ち満ちているように見えましたが、それでも今年はカレンダーの都合で春節より前にフェアが開かれたため、例年よりも人の数はずいぶん少ないと聞き、これで少ないのかと驚いたものです。
 子供たちがお年玉を握りしめて本を買いに来るだなんて、なんとも素敵な光景ではありませんか!

 会場では、ミステリ研究家の曲辰さんとの対談をいたしました。同時通訳をして頂いたのは初めての経験です。上手くお答えできたのか、興味を持って頂けるようなことをお話しできたのかまことに心許ないですが、当日開催されたイベントの中でも、特に多くの方に来て頂けたそうで、嬉しいことです。

 対談後は場所を移し、別の媒体からインタビューを受けましたが、ここでは陳舜臣の話ばかりしていたように思います。まさか陳先生の話をする機会があると思わず、楽しくなってしまったのです。
 陳舜臣は著名な歴史作家ですが、むろんミステリの作例も豊富で、台湾ではどちらかといえばミステリ作家として知られていると聞きました。インタビュアーはミステリ関係の方でしたから、一般的にもそう言えるのかはわかりませんが、意外なことです。
 最近台湾では、『怒りの菩薩』が刊行されたそうです。

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 恥ずかしながら未読ですが、なんとかして読んでみたいものです。

 その後は、サイン会のためにブックフェア会場に戻りました。
 翌日は紀伊國屋書店台北店さんでサイン会だったのですが、どちらの会でも、流暢な日本語で挨拶をして下さる方、かわいらしいイラストを送って下さる方、嬉しそうに笑ってくださる方など、さまざまな読者の方々に接することができて、よい時間になりました。

 それにしても、滞在していた三日間、どの食事もとてもおいしいものでした。味が濃すぎず、旨味もわざとらしくなくて、なにを頂いても品が良いのです。
 台湾では以前からこのような味が主流だったのかとお訊きしたところ、以前は甘い物はもっと甘く、塩気のものはもっとしょっぱいことが多かったが、ここ十年ほどで所謂やさしい味のものが増えたと教えて頂きました。

 帰りの飛行機はディレイでしたので、空港でゆっくりと過ごしました。土産物を扱う店に本の売り場もあり、興味深い本もいろいろと見つけました。
 今回は仕事で、しかも三日とも雨でしたからどこにも出かけることは出来ませんでしたが、またいつか、ゆっくりと文化文物を拝見したいものです。
 関係者の皆様方、対談やサイン会に来て下さった方々に、改めてお礼を申し上げます。

posted by 米澤穂信 at 12:42| 近況報告

2018年02月28日

『蕃東国年代記』解説


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著:西崎憲
カバーイラスト:市川春子
カバーデザイン:山田英春
出版社:東京創元社

発売日:2018年2月28日
定価:本体700円(税別)
文庫判

 文庫化に際し、解説をお任せ頂きました。

 新潮社から単行本が刊行された時、著者がカーシュやバークリーの訳者だとは気づかず、東洋趣味の幻想譚というまことに好みの趣向に惹かれて読んだことを憶えています。
 さらりと読める物語の一つ一つに、遠い源流と凝った美意識がある小説ですので、微力ではありますがそれらを読み解く一助になればと思いつつ解説を書いていきました。

 拙文ながら、あの時の読書の楽しさを幾分かでも皆さまにお伝え出来ていればと思います。

posted by 米澤穂信 at 00:00| 解説・推薦・編纂

2017年12月15日

「紐育チーズケーキの謎」


「ミステリーズ!」vol.80(東京創元社)収録
発売日:2017年12月15日


 九十秒あれば、彼女には充分だ。



「ミステリーズ!」に寄稿した短篇です。

巴里マカロンの謎」で知り合った古城秋桜に招かれ、小佐内ゆきは、古城の中学校の文化祭に行くことになった。小佐内に頼まれ、小鳩常悟朗も同行する。目当てだったニューヨークチーズケーキを堪能し、あとはそれぞれ自由に文化祭を楽しもうと別れた後、小佐内をトラブルが見舞う。
 グラウンドの真ん中で焚かれていたボンファイヤー近くにいた小佐内に、どこからか走ってきた一年生男子が衝突。そして、一年生を追ってきた謎の三人組が、小佐内が衝突の際に「あるもの」を受け取ったはずだと難癖を付けてきたのだ。

 悶着の末に三人組が小佐内を拉致していき、現場に残された古城が途方に暮れていると、たまたま一連の出来事を遠くで見ていた小鳩が駆けつけてきた。
 事情を聞いた小鳩は、小佐内は確かに「あるもの」を受け取っていたのだろうと推測する。受け取り、そして、どこかに隠したのだと。

 場所はグラウンドの真ん中、小佐内に与えられていた時間は九十秒ほど。その条件で、小佐内は「あるもの」を、どこにどうやって隠したのか?
 推理が始まった。


〈小市民〉シリーズの、一年ぶりの短篇です。
 ニューヨークチーズケーキは好きです。

タグ:〈小市民〉
posted by 米澤穂信 at 00:00| 雑誌等掲載短篇

2017年10月13日

『太宰治の辞書』解説


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著:北村薫
カバーイラスト:高野文子
カバーデザイン:東京創元社装幀室
出版社:東京創元社

発売日:2017年10月30日
定価:本体700円(税別)
文庫判

『太宰治の辞書』の文庫化に際し、解説をお任せ頂きました。

 もとより、小説家を志していた私が特にミステリを書くことを選んだのは、円紫さんと私シリーズの五作目『六の宮の姫君』に深い感銘を受けたからでした。それだけに、今回解説を書かせて頂けたのは畏れ多くも嬉しいことです。
 思い出話と、本書と既刊との関係性と、本文を読み解く手がかりになるだろう情報とを盛り込みました。シリーズ読者の皆さまと一緒に十七年ぶりの新刊を読んでいくような解説になっていればと思います。

 変わったことと変わらなかったこと、それぞれを楽しむ、すてきなお仕事でした。

posted by 米澤穂信 at 00:00| 解説・推薦・編纂

『米澤穂信と古典部』


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写真:atsushi shimizu+WW
装幀:岩郷重力+K.T
本文デザイン:原田郁麻
出版社:KADOKAWA

発売日:2017年10月13日
定価:本体1,100円(税別)
A5版
ISBN:978-4-04-106051-3


〈古典部〉シリーズのムックであり、気恥ずかしいようにも思いますが、私の個人ムックでもあります。

 2001年の『氷菓』刊行以降、「野性時代」誌で組んで頂いた対談や特集を軸に、いくつかの記事を増補しています。目次は以下の通りです。


Interview 〈古典部〉シリーズ15年のあゆみ
短編 「虎と蟹、あるいは折木奉太郎の殺人」
対談 北村薫――「謎に気付く」醍醐味
対談 恩田陸――こんなミステリが書きたい!
著者による〈古典部〉シリーズ全解説
さらにディープな〈古典部〉隠れネタ大公開!
米澤穂信に30の質問 読者編
あなたの本棚見せてください! 古典部メンバー4人の本棚大公開
お仕事場拝見 2017年
『いまさら翼といわれても』刊行密着レポート!
米澤穂信のマイルストーン
講演録 物語のみなもと
対談 綾辻行人――豊潤なミステリを生み出すために
対談 大崎梢――『いまさら翼といわれても』
米澤穂信に30の質問 読者編/作家、声優、漫画家編
門外不出の〈古典部〉ディクショナリー


 今回のムック用に新しく書き下ろした「古典部メンバー4人の本棚大公開」は、以前このサイトで公開した折木奉太郎の本棚(掘り出し物です)を発展させ、折木、千反田、福部、伊原の四人につき、彼らの本棚に収まっている本を30冊ずつ選んだものです。
「門外不出の〈古典部〉ディクショナリー」は、古典部に関する設定資料の一部を、文章にまとめていただいたものです。こういうものがないと、山本という苗字は出たことがあるのか、伊原に兄弟はいるのか……などちょっとしたことが、すぐにはわからなかったりするのです。

 読者、編集者、同業者、関係者、多くの方に助けられ、こうした本が出せるようになりました。本当にありがたいことです。
 どうぞよろしくお願いいたします。

タグ:〈古典部〉
posted by 米澤穂信 at 00:00| 既刊情報

2017年10月03日

『米澤穂信と古典部』サイン会


 こんにちは。米澤穂信です。

 ムック『米澤穂信と古典部』の刊行に際し、サイン会を開いて頂けることになりました。
 なにしろムックですから、こういう機会があるとは思っていませんでした。ありがたいことです。
 場所は新宿です。

紀伊国屋書店 新宿本店様

日 時:2017年10月28日(土)16:00 〜
場 所:紀伊國屋書店新宿本店8階イベントスペース
参加方法:web申込の上、抽選

詳しくは、紀伊國屋書店新宿本店様のイベント告知をご覧下さい。


〈古典部〉シリーズも、気づけば長く書いてきました。変わらず読み続けて頂けて、こうしたムックが出るにまで至るとは、まったく想像もしていないことでした。
 読者の方々にお会いできる機会が楽しみです。当日、どうぞよろしくお願いいたします。
posted by 米澤穂信 at 20:42| イベント告知

2017年09月14日

『連城三紀彦レジェンド2』収録作選定


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著:連城三紀彦
選:綾辻行人 / 伊坂幸太郎 / 小野不由美 / 米澤穂信
カバーデザイン:坂野公一(welle design)
出版社:講談社

発売日:2017年9月14日
定価:本体660(税別)円
文庫判

連城三紀彦 レジェンド』の好評を受けて続刊が編まれることになり、前巻に引き続いて収録作選定に加えていただきました。また、今回は巻末の対談にも参加しています。
 以下に収録作を記します。

「ぼくを見つけて」
「菊の塵」
「ゴースト・トレイン」
「白蘭」
「他人たち」
「夜の自画像」

 巻末には特別対談として、

「ミステリー作家・連城三紀彦の魅力をさらに語る 綾辻行人×伊坂幸太郎×米澤穂信」

 が入っています。

 各短篇の冒頭には、編纂者による解説文が附されています。私は「白蘭」と「他人たち」を担当しました。
 微力ながら、連城三紀彦が長く読み継がれる一助になることを願っています。

posted by 米澤穂信 at 00:00| 解説・推薦・編纂

2017年08月04日

『煙の殺意』帯文


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著:泡坂妻夫
装画:松尾かおる
装幀:柳川貴代
出版社:東京創元社

発売日:2001年11月30日
定価:本体740円(税別)
文庫判
ISBN:978-4-488-40217-4



 思い込みをくるりと反転させる手つきのたおやかさは、さすが名人。世界最高のミステリ短篇集です。




 泡坂妻夫の傑作短篇集『煙の殺意』のオビ文を書かせていただきました。
『煙の殺意』は、私が最も愛するミステリ短篇集です。それを広くお薦めできるのは本当に幸せなお仕事で、このような機会に恵まれたことを嬉しく思います。

『煙の殺意』は、「椛山訪雪図」を何より愛していて、「狐の面」もたまらなく好きで、「紳士の園」がすばらしく、「煙の殺意」はもう完璧で、今回読み返して「赤の追想」にしみじみ感じ入り、「閏の花嫁」も良いですが、「歯と胴」もなんとも忘れがたく、「開橋式次第」も賑やかで好きです。

 最初、私は「世界最高級のミステリ短篇集です」と書いていました。しかし推敲するうち、「この『世界最高級』の『級』はいるだろうか。これからさらに素晴らしい短篇集に出会うこともあるだろうし、そうあってほしいものだけれど、そうした一冊に出会ったときに『煙の殺意』を最高とは言い切れないと思い直すことがあるだろうか」と考え、「いや、そうはならないだろう」と結論づけて、「級」を取りました。
 広く読まれる一助になればと願っています。

posted by 米澤穂信 at 00:00| 解説・推薦・編纂

2017年07月28日

『満願』


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(文庫判)
著:米澤穂信
解説:杉江松恋
写真:Jim Green/Getty Images
装幀:新潮社装幀室
出版社:新潮社

発売日:2017年7月28日
定価:本体670円(税別)
文庫判
ISBN:978-4-10-128784-3



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(単行本版)
著:米澤穂信
写真:Jim Green/fStop/Getty Images
装幀:新潮社装幀室
出版社:新潮社

発売日:2014年3月20日
定価:本体1,600円(税別)
四六判上製
ISBN:978-4-10-301474-4



 天も見ていたに違いありません。




 18冊目です。

 四年前、当時の担当編集者さんと、捨てるところなきミステリ短篇集を作ろうと話し合いました。記憶に残る傑作ミステリ短篇集を挙げあう、楽しい時間でした。
 それから、「小説新潮」の企画「Story Seller」シリーズを主な舞台として、ミステリ短編を書き続けてきました。タイムスケジュールに追われることはあっても、いつも意識の片隅には「この短編は、あの日約束した短篇集に恥じることなく入れられるだろうか?」という問いがあったと思います。
 また今回、刊行に当たって、集英社「小説すばる」の当時の担当編集者さんの快諾を得て、そちらに載せて頂いた短編も入れることが出来ました。

 収録作は以下の通りです。

夜警
死人宿
柘榴
万灯
関守
満願

 お楽しみ頂けることを願っています。


第27回山本周五郎賞受賞作
posted by 米澤穂信 at 00:00| 既刊情報

2017年07月05日

立命館大学生協トークイベント


 こんにちは。米澤です。

 2017年11月11日、京都市立命館大学衣笠キャンパスで、大学生を対象としたトーク&サイン会イベントを開いていただくことになりました。

 サイン会を伴う都合上、定員は150名となります。
 ネット上で参加申込を受け付け、10月6日に締め切り、申込者多数の場合は抽選を行って、10月末に当選者への告知を行うとのことです。
 以下、詳細を記します。

日時:2011年11月11日(土) 13:30開場
場所:立命館大学 衣笠キャンパス 以学館2号ホール
参加費:無料
定員:150名

参加対象:大学生
申込方法:https://pro.form-mailer.jp/fms/f15fa497124027 にて受付

 Q&A方式の時間が設けられ、質問は上記サイトで受付ているようです。
 サイン会の対象本、対象冊数については、改めて告知いたします。

 当日、どうぞよろしくお願いいたします。
posted by 米澤穂信 at 15:33| イベント告知

2017年06月30日

『短編学校』


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カバー:篠田直樹(bright light)
出版社:集英社

発売日:2017年6月30日
定価:本体720円(税別)
文庫判


 集英社文庫編集部が編んだ『あの日、君と Boys』『あの日、君と Girls』『いつか、君へ Boys』『いつか、君へ Girls』から10編を選び、再編集したものです。拙作「913」を収録して頂きました。
 以下に収録作品を記します。

「913」米澤穂信
「エースナンバー」本多孝好
「さよなら、ミネオ」中村航
「カウンター・テコンダー」関口尚
「骨」井上荒野
「ちょうどいい木切れ」西加奈子
「少年前夜」吉田修一
「サイリウム」辻村深月
「マニアの受難」山本幸久
「ねむり姫の星」今野緒雪

posted by 米澤穂信 at 00:00| 共著・アンソロジー

2017年05月06日

対談が掲載されました


 こんにちは。米澤です。
 対談が掲載されましたのでお知らせします。

媒体:『ダ・ヴィンチ』2017年5月号(文藝春秋)
発行日:2017年5月6日
題名など:星野源 総力特集
話者:星野源・米澤穂信

posted by 米澤穂信 at 00:00| お知らせ

2016年12月31日

今年の総括です


 こんにちは。米澤です。

 2016年の終わりにあたり、今年の総括をします。
 今年は総じて低調な一年でした。二月から三月にかけてひどい痛みに襲われ、打ち合わせをキャンセルすること数度、いちど仕事を止めて受診や検査に明け暮れましたが、これといって問題は見つかりませんでした。
 その後、仕事の状況が変化してから、痛みがほぼ消えたのがありがたいところです。


 一月は岐阜県立図書館にお招き頂いて、講演をいたしました。(講演録は「文芸カドカワ」に収録されています)。また、短篇「いまさら翼といわれても」の後篇が「野性時代」に載りました。

 二月は「GRANTA JAPAN with 早稲田文学 03」に短篇「竹の子姫」を載せて頂きました。紙幅に制限がある中、「虫愛ずる姫君」と密室トリック(ジャック・フットレル「十三号独房の問題」の系譜に連なるものです)を書けた、心残りと楽しさが同居する仕事でした。

 三月は「ダ・ヴィンチ」で有栖川有栖先生と対談をいたしました。なにぶん私も新本格の直撃を受けていますのでどうしても固くなってしまいましたが、ホテルに関する話がとりわけ面白かったです。

 四月は「女性自身」で柚月裕子さんと対談をいたしました。日常の謎から書誌を始めた私と、警察や検察の世界を描いて評価の高い柚木さんではずいぶん傾向が違いますが、誌面には収まらないほど話が盛り上がりました。

 五月は、記録を見る限り、ようやく体調が回復に向かったことで遅れていた仕事を進め、溜まっていた連絡を取ることなどに忙殺されていたようです。

 六月は「ユリイカ」の妖怪特集に、短篇「野風」を載せて頂きました。郡代の息子、鉄太郎が散策中ふと墓地に迷い込み、加藤清正の孫の墓を見つけるという物語です。天狗が出て来ますが、天狗は妖怪かと訊かれて驚きました。

 七月は「本の雑誌」にエッセイ「鷹と犬」を寄稿しました。名物企画、三万円分の本を買い、その様子をレポートしたものです。前半戦までしか書けなかったので、どこかで後半戦も書きたいと思っていましたが、なかなかままなりません。

 八月は「文芸カドカワ」に短篇「箱の中の欠落」を載せて頂きました。短篇集の冒頭に置くことを想定していたため、掉尾を飾る「いまさら翼といわれても」とはいろいろ対比する点があります。たとえばどちらも、折木の料理が出来上がったところで電話がかかってきます。

 九月は、先月に続いて「文芸カドカワ」に、「わたしたちの伝説の一冊」が載りました。電子メディアならではの枚数無制限につられ、ずいぶん勢いよく書いたことを憶えています。

 十月は、短篇「花冠の日」を新たに併録した、『さよなら妖精』の新装版が刊行されました。小説が長く読まれ、その寿命が保たれるのはこの上ない喜びです。しかも、新装版は版を重ねることができました。しみじみと喜んだものです。

 十一月は金沢学院大学のお招きを受けて公開講座に出させて頂き、その翌週には福岡県大刀洗町立図書館で講演をいたしました。そして月末にはとうとう、〈古典部〉の短篇集、『いまさら翼といわれても』を読者の方々にお届けすることができました。

 十二月は短篇「巴里マカロンの謎」を「ミステリーズ!」に載せて頂きました。久しぶりの〈小市民〉です。そして都内二ヶ所、それと大阪で『いまさら翼といわれても』のサイン会を開いて頂きました。先月から続いてなかなかの強行軍でしたが、読者と直接接するのは何よりの喜びです。これからもいろいろ書いていくつもりですが、やはり〈古典部〉や〈小市民〉も大事にしたいと、改めて痛感いたしました。


 こうして書き出してみても、年の前半はやや低調で、後半にかけて調子が上がってきた様子がわかります。
 このまま、2017年はよい滑り出しをしたいものです。

 今年もありがとうございました。どうぞ来年も、よろしくお願いいたします。

posted by 米澤穂信 at 05:49| 近況報告

2016年12月12日

「巴里マカロンの謎」


「ミステリーズ!」vol.80(東京創元社)収録
発売日:2016年12月12日



 楽しみだったの! でも、いまはもう、自分でもどれを諦めたのかわからない……。



「ミステリーズ!」に寄稿した短篇です。

 高校一年の二学期、小鳩常悟朗は小佐内ゆきに連れられ、名古屋への快速列車に乗っていた。とある事情で小佐内の頼み事をひとつ聞くことになり、小佐内は名古屋のパティスリーへの同行を希望したのだ。その店では三種類のマカロンを選べるのだが、小佐内は四種類食べたかったのだ。小鳩を連れていけば、一回で四種類試せる。

 そうして訪れたパティスリーで三種類のマカロンを注文し、小佐内は少しのあいだ席を外した。戻って来たとき、彼女の皿には四つのマカロンが乗っていた。
 頼んだのは三つだったはずなのになぜ? 店員が間違えたのだろうか? まさか! しかしではなぜ、誰が第四のマカロンを置いたのか?

 疑問は多々あるが、小鳩はまず、「どれが後から置かれた四つめのマカロンなのか」を当てようとする。その問いの解決自体は、二人にとってそれほど難しいものではなかった。

 真の問題は、小佐内が「四つめのマカロン」を手に取ったときに浮上する。そのマカロンは、重かったのだ。
 涙を呑んでマカロンを割った小佐内は、その中身を見て、さすがに驚愕を隠せない。
 ……中には、金の指輪が入っていた。


〈小市民〉シリーズの、ひさしぶりの短篇です。
 彼らは変わらないですね。

タグ:〈小市民〉
posted by 米澤穂信 at 00:00| 雑誌等掲載短篇

2016年11月30日

『いまさら翼といわれても』



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著:米澤穂信
写真:清水厚
装幀:岩郷重力+K.T
出版社:KADOKAWA

発売日:2016年11月30日
定価:本体1,480円(税別)
四六判上製
ISBN:978-4-04-104761-3


 21冊目にして、〈古典部〉シリーズの6冊目です。

 機会を見つけて書いていた短篇を、短篇集として編み上げました。
 いずれ本にするときこのような一冊になればと思い描いていたその形に、仕上げられたと思います。
『氷菓』から続く小説を、また新たにお届けできました。
 物語の時期は、折木奉太郎たちが二年生になった一学期、ほぼ『ふたりの距離の概算』と重なっています。
 以下の小説が収録されています。

箱の中の欠落
 夕食を作り終えた折木奉太郎に、電話が掛かってくる。福部里志が、散歩に行かないかと誘ってきたのだ。落ち合った福部は、その日おこなわれた生徒会選挙で、あり得ない投票結果が出たと告げる。

鏡には映らない
 伊原摩耶花はふとしたことから、中学時代に折木が犯した過ちのことを思い出す。その過ちゆえに折木はクラス全員から軽蔑された。それから二年、折木と同じ古典部に属してきた伊原は思う。……あの一件は見た目通りだったのか?

連峰は晴れているか
 校舎上空を、一機のヘリコプターが飛び越していく。そのエンジン音を聞き、折木はなんとはなしに、「荻がヘリ好きだったな」と呟く。中学校の英語教師、小木のことを言ったのだが、中学校が同じだった福部も伊原も、そんな話は知らないという。

わたしたちの伝説の一冊
 中核的な部員が退部したことで、漫画研究会は分裂状態に陥っていた。伊原は漫画を描きたいだけだが、いまの漫画研究会でそれをすることには派閥的な意味が生じてしまう……。息苦しい状況の中、伊原の創作ノートが盗まれてしまう。

長い休日
 清々しい休日、折木は街歩きに出かけた先で、千反田えると出会う。なぜか稲荷の祠を掃除することになり、箒で落葉を集める折木は、千反田から問いかけられる。「やらなくてもいいことなら、やらない」……折木はどうして、モットーを掲げることになったのか。

いまさら翼といわれても
 昼食を作り終えた折木奉太郎に、電話が掛かってくる。伊原が、千反田の行方を知らないかと訊いてきたのだ。市の合唱祭でソロパートを歌うはずだった千反田が、出番が近づいても会場に現われないというのだ。取りあえず現場に向かった折木は、僅かな手がかりから千反田の居場所と、その望みとを推理していく。

タグ:〈古典部〉
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2016年11月27日

対談が掲載されました


 こんにちは。米澤です。
 対談が掲載されましたのでお知らせします。

媒体:『本の旅人』2016年12月号(KADOKAWA)
発行日:2016年11月27日
題名など:『いまさら翼といわれても』刊行記念対談
話者:大崎梢・米澤穂信

posted by 米澤穂信 at 00:00| お知らせ