2010年06月10日

『インシテミル』


incitemill.jpgMr_Blank.jpginsitemilu.jpg


(四六判)
著:米澤穂信
装画:西島大介
装幀:関口信介
出版社:文藝春秋

発売日:2007年8月31日
定価:税込1680円(本体1600円)
四六判上製
ISBN:978-4-16-324690-1

(文庫判)
著:米澤穂信
装画:村尾亘
装幀:関口信介
解説:香山二三郎
出版社:文藝春秋

発売日:2010年6月10日
定価:本体686円
文庫判
ISBN:978-4-16-777370-0


 九冊目です。

 充実した学生生活を送るために是非ともクルマが欲しい大学生、結城理久彦。バイトでもするかと情報誌を探しに立ち寄ったコンビニで、彼は指一本分の不足があるという令嬢に出逢います。須和名祥子と名乗った彼女は、高額報酬の仕事を探していると言いました。
 彼女のためにバイト情報誌を繰る結城。須和名はふと、ある仕事に目を留めます。『報酬:1120百円』。百の字が誤植でなければ、この仕事の報酬は十一万二千円の計算になります。
 間抜けな間違いもあるものだと思いながら、冗談半分で応募する結城。しかし、それが彼の運の尽きでした。

 案内されたのは、地下空間。名づけて〈暗鬼館〉。
 参加メンバーは十二人。
 そしてラウンジの円卓には、十二体のネイティブアメリカン人形が。

 ……さて、ミステリの始まりです。
posted by 米澤穂信 at 00:00| 既刊情報

2010年04月15日

『推理小説年鑑 ザ・ベストミステリーズ2007』『ULTIMATE MYSTERY ミステリー傑作選』


best_mystries_07.jpgRe2007.jpg

(四六判)
編:日本推理作家協会
解説:千街晶之
装幀:多田和博
出版社:講談社

発売日:2007年7月10日
定価:税込3,675円(本体3,500円)
四六判上製
ISBN:978-4061149083


 日本推理作家協会が毎年編んでいるアンソロジーに、拙作「心あたりのある者は」を採っていただきました。
 以下に今回の収録作一覧を記します。

〈小説〉
「罪つくり」――横山 秀夫
「ホームシックシアター」――春口 裕子
「ラスト・セッション」――蒼井 上鷹
「あなたに会いたくて」――不知火 京介
「脂肪遊戯」――桜庭 一樹
「標野にて 君が袖振る」――大崎 梢
「未来へ踏み出す足」――石持 浅海
「ラストマティーニ」――北森 鴻
「エクステ効果」――菅 浩江
「落下(おち)る」――東野 圭吾
「早朝ねはん」――門井 慶喜
「オムライス」――薬丸 岳
「スペインの靴」――三上 洸
「心あたりのある者は」――米澤 穂信
「熊王ジャック」――柳 広司

〈解説〉
「推理小説 二〇〇六年」――千街晶之

 また、本書は二分冊にて、講談社から文庫化されました。
 それぞれ『MARVELOUS MYSTERY』と『ULTIMATE MYSTERY』と題されており、拙作は後者に収録されています。
 以下にその書誌データと収録作を記します。

(文庫判)
編:日本推理作家協会
解説:香山二三郎
装画:木脇哲治
装幀:本山吉晴
出版社:講談社

発売日:2010年4月15日
定価:本体685円
文庫判
ISBN:978-4-06-276637-1

「落下(おち)る」――東野 圭吾
「熊王ジャック」――柳 広司
「未来へ踏み出す足」――石持 浅海
「心あたりのある者は」――米澤 穂信
「あなたに会いたくて」――不知火 京介
「ラスト・セッション」――蒼井 上鷹
「エクステ効果」――菅 浩江
「ホームシックシアター」――春口 裕子
posted by 米澤穂信 at 00:00| 共著・アンソロジー

2010年04月10日

「満願」


『Story Seller3』(新潮社)収録
発売日:2010年4月10日 定価:800円



「この世はままならぬものです。泥の中でもがくような苦しい日々に遭うこともあります。ですが藤井さん、矜恃を見失ってはなりません。あなたはこれまでよく勉強なさったではないですか。わたしはそれを見ていました。天も見ていたに違いありません。……今日はよく願掛けなさいな」




 ムック「Story Seller3」に掲載された短篇です。

 中野に弁護士事務所を構える藤井の下に、一本の電話が入ります。それは彼が八年前から弁護を担当した刑事被告人・鵜川妙子の出所を伝えるものでした。
 藤井にとって妙子は依頼人であると同時に、思い出深い人物でもあります。……苦学生だった頃、藤井は鵜川家に下宿していたのです。

 下宿時代の藤井は、何としても在学中に司法試験を突破しなければとがむしゃらに勉強を続けていました。その藤井を陰で支えたのが、鵜川妙子です。
 しかし藤井が勉学に打ち込む傍らで、鵜川家には暗い影が忍び寄っていました。妙子の夫、重治は決して勤勉な男ではなかったのです。

 学生時代が終わり、藤井が弁護士への道を歩み始めてから五年。凶報がもたらされます。
 ――鵜川妙子が、借金の取り立てに訪れた金融業者を刺殺した。
 藤井は恩人・妙子のため、全力で裁判を戦いました。
 しかし妙子は、まだ戦う余地のある裁判を、控訴審で投げ出してしまいます。懲役八年の判決を受け入れ、長い年月が始まりました。

 出所の電話を受けて、藤井は事件を回想します。
 鵜川妙子が殺人罪を犯したことは間違いない。しかし……。
 歳月のあいだに彼は経験を重ね、既に情熱ばかりの新鋭弁護士ではありません。
 いまの彼は、事件を冷静に振り返ることができるのです。


 短篇です。
 大変な中にも嬉しさがある仕事になりました。

タグ:『満願』
posted by 米澤穂信 at 00:00| 雑誌等掲載短篇

2010年03月28日

対策です

 こんにちは。米澤です。

 裏手の建物の解体工事が始まったかと思うと、表の建物も改築が始まり、ついでに向かいの道路で掘削工事が行われ、目の前の街道で改修工事が始まりました。
 世界中が私を目の敵にしている!
 行こうと思っていたタイ料理屋が定休日だったのも、きっと敵の陰謀に違いない!

 建物の工事は昼に行われ、道路の工事は夜に行われます。
 もちろんどれも大切な仕事ですから、やらないでほしいとは言いません。言いませんが……。
 十メートルの距離でショベルカーがコンクリートを砕いていると、つい「ああ、RPGをお届けしたいなあ」などと思ってしまう心の弱さが情けないです。
 三千世界の重機を壊し、ひとりで朝寝がしてみたい。


 しかしそんな鬱屈を溜め続ける暮らしとも今夜でおさらばです。
 見たくない物からは目を背ければいい。嗅ぎたくない匂いには鼻をつまめばいい。
 どんな困難にも正面から立ち向かうのは雄々しい態度ですが、まあ、逃げた方が話が早いことも多々あります。
 つまり……。
 買ってきました文明の利器。「耳栓」を!

 余談ですが雑貨屋の店員さんに「耳栓をください」と言ったら「イヤープラグですね」と言われました。天丼芸もたいがいにして欲しいものです。


 それはさておき、この耳栓、果たしてどれほど効くものか。
 実は内心、音は体内を伝導もしてくるので、さほど劇的に効きはしないのではと疑っています。
 とはいえ生涯で初めての耳栓体験。
 月曜日の工事再開が、いまから待ち遠しくて堪りません。
posted by 米澤穂信 at 02:54| 近況報告

2010年03月05日

『青春探偵団』

seisyun_tanteidan.jpg

著:山田風太郎
解説:米澤穂信
装画:黒田硫黄
装幀:INFOBAHN
出版社:ポプラ社

発売日:2010年3月5日
定価:620円
文庫判
ISBN:978-4-591-11678-4

 山田風太郎『青春探偵団』がポプラ文庫ピュアフルから復刊されました。
 今回、その解説をお任せいただきました。

 好きな大作家の作品ですから、ともすれば気圧されそうになるところを深呼吸して解説を付けました。
 本書に至るまでの「天国荘」の系譜(山田風太郎が入っていたのは「青雲寮」ではなかった!)から始まり、各篇のミステリ的な読みどころを紹介する形になっています。

 それにしてもこの装幀には驚きました。
 山風と黒田硫黄を合わせるとは、ちょっと思いつかなかったです。
posted by 米澤穂信 at 00:00| 解説・推薦・編纂

『黄金三角』

ougon_sankaku.jpg

著:モーリス・ルブラン
訳:南洋一郎
挿画:奈良葉二
解説:米澤穂信
装画:牧 秀人
装幀:モリサキデザイン
出版社:ポプラ社

発売日:2010年3月5日
定価:609円
文庫判
ISBN:978-4-591-11674-6

 モーリス・ルブラン『黄金三角』がポプラ文庫で復刊されました。
 今回、その解説をお任せいただきました。

 ルブランの復刊というより、南洋一郎訳の復刊という意味合いが濃いように思います。
 ですが解説はその辺りの事情には触れず、第一次世界大戦という特別な事情の中で書かれた本書について、私なりの視点と考えを記しました。

 この冒険譚が多くの子供に届く一助になればと思っています。
posted by 米澤穂信 at 00:00| 解説・推薦・編纂

2010年02月24日

「ナイフを失われた思い出の中に」


『蝦蟇倉市事件〈2〉』(東京創元社)収録
発売日:2010年2月24日 定価:1,785円



 情報を取り扱う上で最もやってはならないのは、当事者の言葉をそのまま伝えることです。先ほどあなたは、真実はいずれ自然と明らかになる、と言いました。ですがあなたもお気づきのように、それはあまりにロマンティックです。
 真実とは、そうであってもらわねば困る状態のことなのです。




 アンソロジー『蝦蟇倉市事件〈2〉』に寄稿した短篇です。

 2007年8月、蝦蟇倉市で一つの殺人事件が起き、容疑者が逮捕されました。
 容疑者は未成年。被害者は、まだ幼い彼の姪です。事件はセンセーションを巻き起こし、多くの報道陣が蝦蟇倉に押しかけます。出所不明の「手記」が出まわるに至って、報道はピークを迎えました。

 数日後。
 蝦蟇倉駅に一人の男が降り立ちます。イタリアの企業に勤め、ビジネスの都合で来日した紳士。彼はこの街で、ルポライターと会う約束をしているのです。
 やがて現れたルポライターは、自分の仕事が終わるまでこの街を観光してはどうかと紳士に勧めます。しかし紳士はルポライターと行動を共にすることを選びました。

 うだるような暑さの中、タクシーで巡る蝦蟇倉市の一日。
 それはやがて、「真実」を巡る短い旅路となっていきます。

posted by 米澤穂信 at 17:02| 雑誌等掲載短篇

2010年02月23日

『夏期限定トロピカルパフェ事件』コミカライズ始まりました

 こんにちは。米澤です。

 先日、雑貨屋に行きました。なにしろ売り物が多く、目当てのものがさっぱり見つかりません。仕方がないので店員さんに尋ねました。
「あの、すみません」
「はい!」
 ふくよかで活発な、たいへん愛想の良い店員さんでした。
「何かお探しですか?」
「はい。書見台はありますか」
「え?」
「ええと、こう、本を開いて置く……」
 手振りを加えて説明すると、店員さんの表情がぱっと明るくなりました。
「ブックレストですね! ご案内します」

 そうして目当てのものを手に入れることはできましたが、必要なものはまだありました。
「あの、それと状差しはありますか」
「え?」
「ええと、こう、手紙を差しておく……」
 手振りを加えて説明すると、店員さんの表情がぱっと明るくなりました。
「レターラックですね! ご案内します」

 書見台と状差しでいいじゃないか、と腑に落ちない思いを抱えて帰宅した翌日。
 外出に備え、髪型を整えようとしましたが道具が見当たりません。
 きょろきょろ部屋を見まわしながら、思わず呟きました。
「ええと。鬢づけ油はどこに置いたかな」
 その途端に反省しました。いくらなんでもそりゃないです。
 どう考えてもヘアワックスですね。


 それはさておき。
 先日ご案内した『夏期限定トロピカルパフェ事件』のコミカライズが、「Gファンタジー」誌2月号から掲載されています。
 どうぞよろしくお願いします。
posted by 米澤穂信 at 04:33| お知らせ

2010年02月16日

短命です

 こんにちは。米澤です。

 パソコンのキーボードが故障したため、USBキーボードを利用して作業をしています。キーストロークやキーの大きさそのものが違うのに加え、[Fn]キーが左側にしかないのが大変不便です。
[Fn]+[↑]or[↓]でページアップ、ページダウンをするのですが、[Fn]キーが左にしかないとページ操作に両手を使うことになるからです。

 しかし、購入から二年で故障とは、随分あっさり壊れてくれたものです。回路部分ならまだ諦めもつこうというものですが……。
 日本製品が、という言い方はしません。ですが、日本で普通に購入する製品の頑丈さは退歩しているなあとつくづく思います。
 十年選手、十五年選手の家電を見かけなくなりました。思い返せばこのところ、製品を買い換える理由はいつも「より良い製品が出たから」ではなく、「故障を直すよりも買い換える方が早いから」だったように思います。


 壁掛け時計を使っているのですが、ムーブメントがくたびれて作動音が大きくなったので買い換えました。なにしろ私がほんの子供だった頃から使っていた時計ですから、そろそろ寿命かなと思ったのです。
 ところが、買い換えた時計は最初こそ静かだったものの、半年で異音を発するようになりました。購入店に相談したところ、「ムーブメントが静かに動くのを保証できるのは半年までですね」と言われてしまいました。

 安物を買ったつもりはなかったんですが……。というか、その前の十年以上静かだった時計も、さほどの高級品ではないはずです。普通のお店で普通の金額で買った製品が、以前より劣っている。
 私のような者は米一粒釘一本自分では作れない末期哀れの徒ではありますが、良質の製品が身のまわりから消えていることに気づくと、やはりなんとも寂しいものがあります。
 買って半年の壁掛け時計は、うるさいので、電池を外されてただの壁飾りになりました。なにしろデザインは悪くないんですよ。


 ところでパソコンですが。
 いちおう保証書がありますので、無償修理の対象ではあります。私はキーボードで小説を書いていただけで、物を落としたことも水で濡らしたこともありません。
(ちなみにここでこぼしたのはあくまで、テーブルの上に、です。わかりづらく書いてますけど)

 しかし私はほとんど期待していません。
 なにくれとなく理由をつけられて、有償修理にされてしまうんだろうなという諦めがあります。
 二年で壊れるキーボードを売っている会社なのだと思えば、サポート体制だけは上々だなんて、いったいどうして思えるでしょうか?
posted by 米澤穂信 at 11:27| 近況報告

2010年02月01日

『Story Seller2』

story_seller_2.jpg


編:新潮社ストーリーセラー編集部
出版社:新潮社

発売日:2010年2月1日
定価:税込700円
文庫判
ISBN:978-4-10-136672-2

 2009年4月に刊行された「小説新潮」別冊「Story Seller2」が、文庫本になりました。初出誌の通り、拙作「リカーシブル――リブート」が収録されています。
 以下に収録作一覧を記します。

「マリーとメアリー ポーカー・フェース」沢木耕太郎
「合コンの話」伊坂幸太郎
「レミング」近藤史恵
「ヒトモドキ」有川浩
「リカーシブル ― リブート」米澤穂信
「444のイッペン」佐藤友哉
「日曜日のヤドカリ」本多孝好
posted by 米澤穂信 at 00:00| 共著・アンソロジー

2010年01月30日

特設です

 こんにちは。米澤です。

 先日、角川書店の新春感謝会に行ってきました。
 いつも通りの壁の花だったのですが、後になって私を捜していた編集者さんがいらしたと聞きました。
「それは申し訳ないことをしました。なにしろ広いですからね」
 と申し上げたところ、こう返って来ました。
「米澤さんは壁際に行く習性があると聞いたので、外周を捜したんですが……」

 習性て。

 なお米澤は好気性です。
 ときおり負の走光性が見られます。



 東京創元社さんのアンソロジー『蝦蟇倉市事件』の一巻が発売されました。
 アンソロジーとしては珍しいことだと思うのですが、なんと特設サイトがオープンしています。


 なお、この奇妙な街の命名者は道尾さんです。大藪賞超おめでとうございます。
 一つの街を舞台にして競作をしようという企画が持ち上がり、著者が集まって相談をしました。ところが、漠然と「街」と言われてもイメージがつかめない。そこで私が鎌倉をモデルにしてはどうかと言いました。南が海、北が山、鉄道があって歴史もあるのでミステリに使いやすいと思ったからです。

 街の名前は後で決めようという話だったのですが、真っ先に原稿を仕上げた道尾さんが、作中で「蝦蟇倉」と命名しました。もっともこの時点ではあくまで仮の名前で、いずれもう一度相談しようということだったと記憶していますが……。
 別の方の作中に、街の名前が蝦蟇倉でないと通じない絶妙のネタが記されるに至り、「このネタは捨てるには惜しい」ということでそのまま決着してしまったのです。
 それほどのネタが何であるかは、お読みいただければ薄々おわかりになるのではと思います。


 ちなみに拙作は二巻目に収録されています。
 どうぞよろしくです。
posted by 米澤穂信 at 16:22| 近況報告

2010年01月19日

『インシテミル』映画化の制作発表がありました

 こんにちは。米澤です。

 拙作『インシテミル』が映画化が決まり、制作発表がありました。
 監督は中田秀夫氏。
 配給はワーナーブラザース映画。
 芸能プロダクション・ホリプロの創立50周年記念映画となります。


 初めて接したミステリは「新本格」でした。
 その後さまざまなミステリを好きになり、また幸いなことに自ら書く機会にも恵まれてきましたが、初めてのミステリへの思いはどこかに持ち続けていました。

 ある時、こういうミステリもまた好きだったという思いにひたすら淫してみようと思い立ち、書き始めました。仕上げた千枚の原稿には『インシテミル』という題をつけました。
 本が店頭に並んだ時、読者の皆様に喜んで頂けることを願う一方で、自らの思い出に決着をつけたような満足を覚えてもいました。

 あれから三年。こういう成り行きになろうとは。
 さすがに、ちょっと驚きましたね。


 映画の公開は2010年秋予定だそうです。
posted by 米澤穂信 at 21:53| お知らせ

2010年01月18日

『夏期限定トロピカルパフェ事件』コミカライズ詳細決まりました

 こんにちは。米澤です。

 先日、スクウェア・エニックス社の新春記念パーティーに招かれて行ってきました。
 壇上での発表によりますと、昨年のコミックの売り上げが三強に次いで業界四位だったとか。どういう数字を用いた比較なのかわかりませんので一概には言えませんが、好調は確かなようで、まことにめでたいことです。
 ちなみに今年のゲストはパパイヤ鈴木でした。「MY FIRE」や「TUBTHUMPING」、「JUMP」などなど懐かしい音楽に合わせてパパイヤ鈴木が基本的なダンス動作を解説付きで披露してくれるという、たいへん贅沢な時間でした。
 私はじっとチョコレートファウンテンを見つめていたので踊りはしなかったのですが……。

 さて、そんなスクウェア・エニックス社の「Gファンタジー」誌で、拙作『夏期限定トロピカルパフェ事件』のコミカライズが始まります。

parfait_comic.jpg

 来月、2月18日発売の3月号に第一回が掲載されます。
 構成に山崎風愛さん、作画におみおみさんというチーム体制で進めていきます。山崎さんはネームの構成がたいへん上手く、おみおみさんはこの一つ前でパティシエの漫画を描いていらっしゃるという隙のない布陣です。私が隙にならないようがんばらねば。
 お楽しみいただけることを願っています。

作画のおみおみさんから年賀状を頂きました
posted by 米澤穂信 at 22:07| お知らせ

2010年01月15日

『本格ミステリ06』 『珍しい物語のつくり方』


best_select_06.jpgbest_select_06_pb

(新書判)
編:本格ミステリ作家クラブ
解説:円堂都司昭
装幀:柴田淳デザイン室
出版社:講談社

発売日:2006年5月9日
定価:税込1,365円(本体1300円)
新書判
ISBN:4-06-182484-8

(文庫判)
解説:杉江松恋
装幀:京極夏彦 with FISCO
出版社:講談社

発売日:2010年1月15日
定価:税込1,050円(本体1,000円)
文庫判
ISBN:978-4062765664

 本格ミステリ作家クラブが毎年編んでいるアンソロジーに、拙作「シェイク・ハーフ」を採っていただきました。
 新書判が『本格ミステリ06』という題名で、文庫判が『珍しい物語のつくり方』という題名で出ています。
 以下に、今回の収録作一覧を記します。

〈小説〉
「霧ケ峰涼の逆襲」――東川篤哉
「コインロッカーから始まる物語」――黒田研二
「杉玉のゆらゆら」――霞 流一
「太陽殿のイシス(ゴーレムの檻 現代版)」――柄刀 一
「この世でいちばん珍しい水死人」――佳多山大地
「流れ星のつくり方」――道尾秀介
「黄鶏帖の名跡」――森福 都
「J(ジェイムズ)・サーバーを読んでいた男」――浅暮三文
「砕けちる褐色」――田中啓文
「陰樹の森で」――石持浅海
「刀盗人」――岩井三四二
「最後のメッセージ」――蒼井上鷹
「シェイク・ハーフ」――米澤穂信

〈評論〉
「『攻殻機動隊』とエラリイ・クイーン」――小森健太朗
posted by 米澤穂信 at 00:00| 共著・アンソロジー

2009年12月31日

今年の総括です

 こんにちは。米澤です。

 2009年ももう終わりです。今年はデビューから……ええと、8年目の年でした。節目の年でも何でもないですね。しかしあれです、あんがい長く続けて来られたものです。決して順調なことばかりではなかった足あとを振り返れば、支えていただけているなと実感します。

 今年は『秋期限定栗きんとん事件』と『追想五断章』をお届けすることができました。
 シリーズ物の最新刊と、少し渋めの長篇。まるで傾向の違う二作でしたが、自分なりの調理ができたかと思っています。今後も広く楽しんで頂ける工夫をしたいと思っています。
 来年、さしあたっては〈古典部〉シリーズの新刊『ふたりの距離の概算』に全力傾注です。

 ところで、さっき今年のblog記事を読み返していたら、ひとつ書いてないことがあるのに気づきました。
 このお寺、蘇州の寒山寺です。
 皆既日食を見に行ったのです。悪石島に行こうかと考えたのですが、あまり大勢で押しかけても迷惑かと思ったので。
 どこかでオチをつけようと思っていて忘れていました。
 これで日蝕の日に日本にいなかったというアリバイは確保です。

 今年もありがとうございました。来年もがんばります。
posted by 米澤穂信 at 22:53| 近況報告

2009年12月14日

始めています

 こんにちは。米澤です。

 面白いんじゃないかと思うことは小説に書きます。
 面白そうでも小説には馴染まないことはエッセイに書きます(が、私はエッセイが上手くないので、たいていなんとかして小説に仕立てます)。

 小説にはならないだろうと思うことをblogのネタにしています。
 掲示板やメールフォームがアダルト業者の跳梁跋扈によって使えなくなったので、blogに書いたことをmixiに転記しています。
 鶏肋をtwitterに書いています。

 いつ続けられなくなるかわかりませんが、とりあえず始めています。
posted by 米澤穂信 at 16:56| 近況報告

2009年12月07日

インタビューです

 昨日、山手線恵比寿駅で編集者さんと別れました。私が電車を降り、編集者さんは乗ったままでした。
 ところがその直後、四つ先の駅である新宿に用事があったことを思い出し、一つ先の渋谷駅で元の車両に戻って来ました。

 私から見ると自然な行動だったんですが、編集者さんから見ると「恵比寿で降りたはずの米澤が渋谷でまた乗って来た」ということになるわけで、ずいぶん驚かれてしまいました。
 イッツアリバイトリック。

 こんにちは。米澤です。

 原書房の「2010本格ミステリベスト10」でインタビューを受けています。


 インタビュアーはミステリ評論家の川井賢二さん。内容は今年の総括といった感じです。えがおがふしぜん。
 よろしくお願いします。

アリバイトリックを解明する
posted by 米澤穂信 at 22:08| お知らせ

2009年11月22日

悪い夢です

 こんにちは。米澤です。

 最近どうも悪い夢ばかり見て、眠りが浅くて困っています。
 他人の夢の話ほどつまらないものはないといいますが、世にも恐ろしい悪夢をおすそわけしたくて書いてみます。

「こんな夢を見た」で書き始めたりはしませんよ。



1)
 仮面を被った殺人鬼が見目麗しい美女をつけ狙うという夢でした。

 殺人鬼の獲物はなにか鋭利な刃物で、たぶん鋏のようなものでした。元ネタがいくつか思い浮かびますね。
 そして殺人鬼はこの世のものではない力を備えていました。

 しばらく夢を見ていてわかったのですが、殺人鬼はどうも、「中に誰もおらず、外から中が見えない空間であれば、そこに犠牲者をテレポートさせられる」ようでした。
 たとえば仮面の殺人鬼が部屋のドアを閉めると、閉鎖空間になったその部屋に、逃げたはずのヒロインが忽然と現れるのです。

 面白いのが、閉ざされた部屋にヒロインが飛ばされてきても、殺人鬼はその部屋の「外」にいるということです。
 犠牲者をテレポートさせる部屋は無人でなくてはならないので、殺人者自身がいる部屋に呼んでくることはできない。常に無人の部屋に呼び出されるヒロインは、どこから殺人鬼が入ってくるか怯えることになるのです。

 ヒロインは自分がテレポートさせられないよう、扉や窓などを片っ端から壊していきます。
 そうして閉鎖空間を作られないようにしているのですが、家のどこかでサッとカーテンが閉まる音がしたかと思うと、カーテンによって区切られた空間にテレポートさせられてしまう。
「外から見えず、中に誰もいない」という条件を満たせば、そこが別に「部屋」でなくても犠牲者を招くことができるからです。

 ようやく逃げ出しても、ヒロインはまたしてもテレポートさせられてしまう。無人の空間で、殺人鬼はどこから入ってくるのかわからない。
 恐怖は無限に続くのです!

 どうやら洋画ホラーらしく、視界の下の方に字幕がついていました。

 問題なのはヒロインの造形です。
 ホラー映画なんですから「きゃー」と叫んで欲しいものですが……。

 夢の中で彼女は、背中にダブルバレルの猟銃、手に22LR口径のセミオートと象牙で飾られたリボルバーを所持。
 そして、殺人鬼の姿を見ると悲鳴も上げず、躊躇いもせずに銃弾を叩き込んでいきました。


 夢を見ていた私は、「これ怖くないよ。ホラーなのにぜんぜん怖くないよ。設定は凝ってるのに返り討ちにしていいのか? というかまだ誰も死んでないんじゃないか? こんな怖くないホラーで大丈夫なのか? ちゃんと客を呼べるのか?」と不安で不安で、観客動員数と損益分岐点のことを考えると恐ろしくてたまらず……。
 それで目が覚めました。

 ひどい悪夢でした。



2)
 銚子かどこか、漁港に来ているようでした。
 せっかく港に来ているのだから新鮮な魚を食べようと、タクシーをつかまえました。
「どこか魚の美味しい店に連れて行って下さい」
 タクシーの運転手はきさくな人で、「いい店があるよ」と車を出しました。

 車内では他愛のない話で盛り上がりました。
 何でもこれから連れて行ってくれるオススメの店は、運転手さんの息子も大のお気に入りだそうです。
 その息子さんはまだ幼児で、言葉を覚えたばかりなのですが、
「どうも、ませたやつでね」
 と、運転手さんは嬉しそうに話してくれました。
「ほとんど喋れないのに、X-JAPANを歌うんだ」
 それは確かにませていて、凄い息子さんだな、と感心しました。

 ところがどうもおかしい。
 車はどれだけ走ってもお店に着かず、それどころか道沿いには建物の数さえ少なくなって、だんだん山の中に入っていくようなのです。
 途中何件か料理屋があったので、そのたびに「ここかな」と思うのですが、運転手さんはどんどん先に車を走らせるのです。

 とうとう、漁港から遠く離れて長い長いトンネルに入ってしまいました。
「ねえ運転手さん。腹が減ったんですが、そのお店はまだですか」
「うーん、まだもうちょっとかかるねえ。大丈夫、いい店だから」
 そう言われてしばらくは黙っていたのですが……。

 トンネルを出てもまだ着かない。どんどんひとけのない道に入っていきます。
 店がどうこうというより、いったいどこに連れて行かれるのかと不安になって、私はとうとう訊きました。
「運転手さん、そのお店にはあとどれぐらいで着くんですか」
「そうだね、あと二時間ぐらいだね」
 そんなに! 漁港に来ていたはずなのに、どうしてそんなに遠くに行かなければならないのか。
「すみません、そのお店、いったいどこにあるんですか」
 運転手さんはそれまでと変わらない快活な声で、しかしこちらを振り返ることなく、こう言ったのです……。

続きを読む
posted by 米澤穂信 at 07:00| 近況報告

2009年10月25日

ここが約束の地です

 こんにちは。米澤です。

 ひどい風邪にやられてしまい、一週間を棒に振ってしまいました。
 これは悪くなるなとわかったので週の前半は長めに寝るようにして、それでほぼ治ったと思ったのですが。
 症状がほぼ全て引いてからも咳だけがいっこうに止まらず、たいへん苦しい仕儀となりました。

 咳止めの薬も飲んだのですが、これがどうもよくない。
 咳が止まるというより、喉が痺れて咳をするだけの筋力がなくなるような感じで、異物感は残るのにしようと思っても咳ができないという薄気味悪いことになるのです。

 別の薬も試してみたところ、こっちはそういう不自然さはなかったものの、覿面に眠くなってしまう。
 寝れば寝ただけ回復するのですから確かにいい薬ではありますが、仕事が残っているとなるとありがたくもありません。

 ひとづてに聞いた話に、蜂蜜が喉に利くとやら。幸い、暑中見舞いに頂いた蜂蜜がまだ残っていたので、牛乳に溶いて飲むことにしました。
 牛乳を電子レンジで温め、蜂蜜を溶く。ちょっと喉を通せば、まあ偽薬効果かもしれませんが、ずいぶん楽になったような気がしました。

 それで蜂蜜入りのホットミルクを傍らにかたかたキーボードに向かい続けたのですが、あやふやな言葉を調べようと電子辞書に無造作に手を伸ばしたのがまずかった。
 あっと思ったときにはもう遅い。まんまとひっくり返してしまいました。


 それが流れていくのを見ながら、私は卒然として悟りました。
乳と蜜の流れる地
 旧約聖書にいう「約束の地」とは、なるほどここのことであったのか、と。


 べたつく。
posted by 米澤穂信 at 03:43| 近況報告

2009年10月06日

『ボトルネック』増刷決まりました

 こんにちは。米澤です。
 スケジュールの隙を衝いて彦根城に行ってきました。

 城の麓で「ひこにゃんは○時に来ます」と言われました。
 城の中腹で「もう間もなくひこにゃんが来ます」と言われました。
 城の天守閣で「いま入るとひこにゃんに間に合いませんよ」と言われました。

 もし「いや、ひこにゃんに興味はありません」とでも言おうものなら、
「なんですって!」
「ひこにゃんに興味がない!?」
「失礼、聞き違えたかな。何と言われました」
「やだ、こわい」
「ママー、ママー!」
 と大騒ぎになった挙句、微笑みが顔に張りついた彦根城管理事務所員がどこからともなく現れて「少しお話を伺えますか」と深く静かで心地よく秘密めいたところに連れて行かれるのではないかと不安でした。

 帰ってきたら『ボトルネック』文庫判の増刷が決まっていました。
 ありがとうございます。
 ひこにゃん。
posted by 米澤穂信 at 00:00| お知らせ